江戸川病院

社会福祉法人 仁生社

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診療科・部門|スポーツ医学科|単純疱疹 ( 単純ヘルペスウイルス感染症)

単純疱疹 ( 単純ヘルペスウイルス感染症)

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疾患概要

単純ヘルペスウイルス(HSV : Herpes Simplex Virus)により皮膚などに小さく集合(集簇)する、小さな水が入った袋(小水疱)や皮膚のただれ(びらん)が形成されます。HSVにはHSV−1とHSV-2の2種類があります。HSV-1は顔面、口唇周囲におもに感染し、病変部の接触や器具を介して広がる一方で、HSV-2は性器におもに感染し、性行為で感染するとされます。また咳嗽などの飛沫感染もあるとされています。(図1)


スポーツ選手の場合、紫外線の影響や疲労などにより発症するため、発症時は免疫能低下や

疲労の蓄積があるなど体調管理のバロメーターという側面もあります。

また①痒みや痛みから直接的に、②睡眠不足や心理的影響から間接的に、③集団感染でのチーム全体への影響、などからパフォーマンス低下が起こり得るとされています。


格闘技やコンタクトスポーツなどでの接触で、 herpes gladiatorum(格闘技ヘルペス)や herpes rugbiorum (ラグビー選手のヘルペス)と呼ばれる集団感染を起こすと言われており、スポーツ現場での感染対策も必要です。

図1 文献1より引用

水疱の集簇と痂皮化した病変がみられます。

症状

顔面や口唇に集簇する小水疱が形成されます。初めての感染では無症状が多いものの、時に高熱などの症状と上述の皮疹などが出現します。初感染後は神経細胞内に潜伏し、ストレス(紫外線、発熱、月経、心理的、高強度運動の持続)などによる免疫(特に細胞性免疫)の低下で潜伏ウイルスが増殖して、再発症するとされています。

診断

特徴的な皮疹を呈することから、臨床的に診断を下すことが多いです。

治療/対応

治療:軽症であれば、抗ウイルス薬の軟膏で改善がみられますが、耐性化の側面も指摘されており、内服投与が原則とされています。中等症以上では内服治療や点滴加療が必要とされます。抗ウイルス薬は潜伏しているウイルスを消滅させることまではできないため、短期間で再発( 6回/年以上 )を繰り返す場合、長期間の内服治療を検討することもあります。


感染対策:①感染者の早期発見/接触回避を行う②感染を媒介する用具を清掃する③紫外線対策を行うなどが拡大させないために必要です。


Return to Play:全身状態が落ち着いていることを前提に、①病変部が乾燥し、かさぶたを形成する②72時間以内の新規病変出現がなく③120時間以上の抗ウイルス薬治療を実施済であることを確認し、復帰が検討されます。病変部を覆って競技復帰することはやめましょう。

参考文献

1) 松永ら, ラグビーチームの 8 名に集団感染した herpes rugbiorum, 皮膚病診療:4(44);302~305,2022

2) 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A 「ヘルペスと帯状疱疹」2022年8月31日確認

3)枝 伸彦, スポーツ現場における 皮膚コンディショニングの重要性, ストレングス&コンディショニングジャーナル, Volume 27, Number 4, pages 12-19

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